ベトナム関連
- 2024年10月2日
『偽りの告白』(オーストラリア・ベトナム)
オーストラリア発、ベトナム移民に向けられる白人からの差別の根深さゆえに、「差別がないふり」をして生きるしかないベトナム移民社会の人々を活写するミステリー…作者はベトナム移民2世の女性作家で、「1990年代のオーストラリアでアジア人として育つのはどういう感じがするか」をテーマに物語を紡ぐ…
- 2024年2月3日
『夜間旅行者』(韓国・ベトナム)
初紹介の韓国発サスペンスミステリー…英国推理作家協会賞の最優秀翻訳小説(トランスレーション・ダガー)賞受賞作である。アジア圏のミステリー作家の受賞は、ユン・ゴウンが初めて…誰もが感動でき、誰もが悲しめる災害の傷痕、痕跡が見られるのが災害ツアーの売りだが、それは、時間が経てば新鮮味はなくなり、商品として成り立たなくなる。だから、人為的に災害を起こしてまで商売として成り立たせようという資本主義社会の欺瞞(ぎまん)も冷徹に描かれる…
- 2023年11月2日
その人はその人であるということ(日本/埼玉/ベトナム/フィリピン)
…人は、心理的にも身体的にも距離が近くなると、自分の都合のいいように人を動かそうとする。その人はその人であっていいはずなのに、管理しようとする。「この人はこういう人」とレッテルを貼り、「これはどうしたって、こうでなければならない」と決めつける。それが、「差別」や「偏見」の顕(あらわ)れなのだと自覚するのは、思う以上に難しい…
- 2022年8月5日
『壁の向こうへ続く道』(アメリカ・ベトナム)
…作者シャーリイ・ジャクスンは、「日常にひそむ狂気」がテーマのサスペンスミステリーを書き続け、40代で早世した。この作品は70数年前のデビュー作だが、初邦訳されたことになるが、悪意を静かにはらむ物語は決して古びていない…
- 2022年3月22日
『誕生日パーティー』(オーストリア・カンボジア・アメリカ)
1970年代のカンボジア、ポル・ポト率いるクメール・ルージュ(カンボジア共産党)による大虐殺を逃れ、オーストリアにたどり着いたカンボジア難民の、ある秘密をめぐる心理サスペンス・ミステリー。前作『国語教師』で、ドイツ推理作家協会賞を受賞した女性作家タシュラーの最新作…作者の祖国オーストリアは、かつてナチス政権に与(くみ)した。クメール・ルージュを描きながら、作者は自国の歴史認識に対する闇をも暗示する…