「隣る人」工房

遺(のこ)す・隣(とな)る・創(つく)る

「隣る」人たちの肖像

人と寄り添い、寄り合い、ほどよい距離感で新たな関係を模索し紡いでいこうとする人たち。

「私」「戦争」

個人の経験に根ざした「私」の「戦争」の記憶…その語り。

そっと…そこに、いる。そして…

誰もひとりでは生きられない。分断ではなく、境界を越えて「隣る人」でありたい。

創る

いまを掴む言葉を求め、さまざまな手段で表現する方法を探求する。

  • 2024年4月13日

『厳冬之棺≪げんとうのひつぎ≫』(中国・日本)

中国発、「密室の王」と称される短編ミステリー作家・孫沁(スンチン)文(スンチンウェン)の長編デビュー作である本書は、凝りに凝った「密室トリック」本格謎解き小説だった。しかも、横溝(よこみぞ)正史(よこみぞせいし)(せいし)ばりの、田舎の因習に満ちた一族の物語が背景にあり、非常に心惹かれる…

  • 2024年3月11日

「捕虜収容所・民間人抑留所事典—日本国内編―」を刊行

戦争の新事実 強制収容された人々の息遣いが聴こえる 戦後79年。自分たちの足元で起きた戦争犯罪を記録しておかなければ、無いものとして歴史から消えてしまう。太平洋戦争時の外国人捕虜の実態を調べている市民団体「POW(Prisoner of War=戦争捕虜)研究会」(会員数80名)が、20年以上にわた […]

  • 2024年2月3日

『渇きの地』(オーストラリア)

オーストラリア発、ジャーナリスト出身である作者のデビュー作で、英国推理作家協会賞最優秀新人賞を受賞したサスペンス・ミステリー…その土地の風土が人間の精神を規定するのだと、作者は、土地の描写と共に、そこで育(はぐく)れた住民感情や倫理観を土台に物語を紡ぐ…

  • 2024年2月3日

『夜間旅行者』(韓国・ベトナム)

初紹介の韓国発サスペンスミステリー…英国推理作家協会賞の最優秀翻訳小説(トランスレーション・ダガー)賞受賞作である。アジア圏のミステリー作家の受賞は、ユン・ゴウンが初めて…誰もが感動でき、誰もが悲しめる災害の傷痕、痕跡が見られるのが災害ツアーの売りだが、それは、時間が経てば新鮮味はなくなり、商品として成り立たなくなる。だから、人為的に災害を起こしてまで商売として成り立たせようという資本主義社会の欺瞞(ぎまん)も冷徹に描かれる…

  • 2023年12月2日

『狙撃手ミラの告白』(旧ソ連/ドイツ/アメリカ・ウクライナ)

ケイト・クインの”近代史もの”第四弾は、前三作『戦場のアリス』『亡国のハントレス』『ローズ・コード』と同様、第二次世界大戦時の史実が忠実に織りこまれた、壮大な歴史サスペンス・ミステリーである…今回も女性蔑視に抗い、自分の人生を生きようともがく女性が主人公だ…

  • 2023年12月2日

『夜に啼く森』(アメリカ)

アメリカの女性作家リサ・ガードナーが、誘拐・監禁・強姦事件を描いた衝撃のサスペンス・ミステリー『棺の女』(ふぇみん紙・2017年1月25日号)。その事件の被害者にして生還者が、本書の主人公フローラ・デインだ…シリーズ5作目の本書は、最新作にして完結編である…