「隣る人」工房

遺(のこ)す・隣(とな)る・創(つく)る

「隣る」人たちの肖像

人と寄り添い、寄り合い、ほどよい距離感で新たな関係を模索し紡いでいこうとする人たち。

「私」「戦争」

個人の経験に根ざした「私」の「戦争」の記憶…その語り。

そっと…そこに、いる。そして…

誰もひとりでは生きられない。分断ではなく、境界を越えて「隣る人」でありたい。

創る

いまを掴む言葉を求め、さまざまな手段で表現する方法を探求する。

  • 2025年4月2日

不朽の3作品を通して考える「ハンセン病とは何だったのか」~「国策としての差別」に翻弄された当事者の姿が問う日本人の理念(「福音と社会」Vol.338 / 2025年2月28日 号からの転載 ・文 / 長坂寿久)

「福音と社会」Vol.338 2025年2月28日号に記載された『二つの国策差別に翻弄された父母への想い 奥間政則~ハンセン病差別・琉球弧の軍事化拡大~』に関する評論記事。執筆者の長坂寿久さんの許可を得て転載させていただきました。(「隣る人」工房)

  • 2025年2月6日

『破砕』『破果』(韓国)

ミステリー界でも、日本翻訳ミステリー大賞を受賞した、老人で女性で殺し屋が主人公の異色サスペンス『破果(はか)』と、その前日譚(たん)『破砕(はさい)』は出色の出来。2冊同時に紹介…高齢であること、女性であることは日韓を問わず「弱み」のままだ。「高齢×女性」ならなおのこと。弱者に配慮をと言いながら、その一方で「生産性がない」「有用でない」と切り捨てる社会の眼差しは存在し…老いの孤独と生きる意味を考えさせる胸熱のミステリー…

  • 2025年1月26日

『ほんのささやかなこと』(アイルランド)

アイルランドが見て見ぬふりをしてきた闇を、ささやかな日々の暮らしのちょっとした「違和感」で描き出す心理サスペンスミステリー。英国ブッカー賞候補作…2002年、日本で公開されたアイルランド・イギリス合作映画「マグダレンの祈り」で世界を震撼させたアイルランドの「マグダレン洗濯所」事件。本作はこの現実の事件を元にしている…

  • 2024年12月8日

『狂った宴』(イギリス・日本)

ロス・トーマス 著 松本剛史 訳 1,100円 (税込) 新潮文庫 新潮文庫の「海外名作発掘」シリーズで、往年の巨匠ロス・トーマスの未訳作品が翻訳出版された。しかも、今や戦争指南にまで手を出す「広告代理店」が、独立間近なアフリカの国家元首選挙に暗躍(あんやく)するという騙(だま)し合いミステリーであ […]

  • 2025年1月29日

『邪悪なる大蛇』(フランス)

フランス発、もし、凄腕(すごうで)の女殺し屋が、認知症を患ったら…そんなテーマのサスペンス・ミステリーが出た。しかも、『その女アレックス』で世間の度肝を抜いた作家、ピエール・ルメートルの最後のミステリーだ…誰しもに来る「老い」が、凄腕の殺し屋に訪れ、それが老害となって、死体の山ができていく話だが、ここまで振り切ってしまえば爽快(そうかい)でしかない…