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ミステリーから世界を読む

ミステリー評論家でもある稲塚由美子(「隣る人」工房)が厳選した世界で出版されているミステリー小説の書評。

ある事件が起こる。その事件の背景には、登場人物たちが生きる社会状況や歴史が色濃く反映している。ミステリーを通して、わたしたちがいま生きる社会(世界)を読み解いていく。

 

  • 2026年2月1日

『ハウスメイド』(アメリカ・日本)

家庭とは、究極の密室である…本書は、密室家庭でひそやかに支配・管理が横行し、人を狂気に追い込む恐怖が鮮やかに描かれた心理サスペンス・ミステリー…ベストセラーになった本書は映画化され、2025年12月にアメリカで公開…

  • 2026年1月28日

『罪の水際(みぎわ)』(イギリス)

イギリス発、日本初紹介の作家の作品で、英国ミステリー伝統の緻密(ちみつ)な謎解きに、今のイギリスを覆う病巣(びょうそう)を描きこんだ珠玉のミステリー…主人公の魅力に加え、舞台となるダンジェネスの風景ももう一人の主人公…

  • 2026年1月2日

『鎖された声』(アメリカ)

アメリカでは、18歳までの子どもの行方不明者は年間36万人だという。彼らはどんな気持ちでいるのか、生きているのかそれとも? 本書は、現実ではほとんど伝え聞くことのできない行方不明の子どもの境遇に徹底的に寄り添った心理サスペンス・ミステリー…

  • 2025年12月7日

『#ニーナに何があったのか?』(オーストラリア・オランダ・インドネシア・日本)

日本初登場、アイルランド生まれ、オーストラリア在住、弁護士でもある女性作家ダーヴラ・マクティアナンのサスペンス・ミステリーである。SNS用語の#(ハッシュタグ)付きのタイトルが示す通り、本書はインターネットをうまく使ったつもりが、反対に根拠のない情報が拡散され誹謗(ひぼう)中傷にさらされる恐怖の物語。実話かと思うほどのリアリティあふれた心理劇…

  • 2025年10月19日

『夜を駆ける女たち』

本作は、全米を震撼させた30人以上の女性が殺害された実際の連続殺人事件(1974~1978年)を元に、女性の視点で現代社会の歪(ゆが)みを描いたサスペンス・ミステリー。社会にはびこる男性優位主義(マティズモ)に対抗して、女性がエンパワメントしていく過程が痛快…

  • 2025年10月3日

『スパイたちの遺灰』(イギリス)

本書は、イギリスを舞台に、暴かれまいとする勢力との心理戦を描くスパイ小説ミステリーである。作者は、大学院で諜報史を専攻した現在35歳の新鋭…アメリカCIA、イスラエルのモサド、ロシアKGBも入り乱れ、各国のスパイが暗躍する現場で、誰と誰が繋(つな)がり、どんな関係だったのか、という人間ドラマとしても非常に楽しめる…