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ミステリーから世界を読む

  • 2024年10月2日

『偽りの告白』(オーストラリア・ベトナム)

オーストラリア発、ベトナム移民に向けられる白人からの差別の根深さゆえに、「差別がないふり」をして生きるしかないベトナム移民社会の人々を活写するミステリー…作者はベトナム移民2世の女性作家で、「1990年代のオーストラリアでアジア人として育つのはどういう感じがするか」をテーマに物語を紡ぐ…

  • 2024年8月15日

『検察官の遺言』(中国)

数学者の厳(イエン)良(リアン)を探偵役とする〈推理之王〉シリーズ三部作最終話である。作者・紫(ズー)金(ジン)陳(ジェン)は、中国の東野圭吾と呼ばれているという…今の中国、しかも現政治体制の暗部に踏み込む生々しい社会派サスペンスミステリー…

  • 2024年4月13日

『厳冬之棺≪げんとうのひつぎ≫』(中国・日本)

中国発、「密室の王」と称される短編ミステリー作家・孫沁(スンチン)文(スンチンウェン)の長編デビュー作である本書は、凝りに凝った「密室トリック」本格謎解き小説だった。しかも、横溝(よこみぞ)正史(よこみぞせいし)(せいし)ばりの、田舎の因習に満ちた一族の物語が背景にあり、非常に心惹かれる…

  • 2024年2月3日

『渇きの地』(オーストラリア)

オーストラリア発、ジャーナリスト出身である作者のデビュー作で、英国推理作家協会賞最優秀新人賞を受賞したサスペンス・ミステリー…その土地の風土が人間の精神を規定するのだと、作者は、土地の描写と共に、そこで育(はぐく)れた住民感情や倫理観を土台に物語を紡ぐ…