第 28回戦没捕虜追悼礼拝 追悼の辞
関田 寛雄 (日本基督教団牧師)
聖書箇所 :マタイ福音書5章9節
「平和をつくり出す者として」
この度ここに第28回英連邦戦没捕虜追悼礼拝を捧げることができたことを何よりも主なる神に感謝致 します。この時に当たり、二つのことを述べることにいたします。
まず第一に、1941年12月に始まり1945年8月に日本国の全面降伏による終戦に至る間、太平洋沿岸諸国の人々や泰緬鉄道工事に駆り出された捕虜の方々に対する日本軍の残虐な取り扱いについて、日本人として心より謝罪致します。そしてここに眠る1800余 名の勇士たちの霊の上にまたそのご家族の方々の上に天来の慰めが豊かにあることを祈ります。あの国際条約を無視した日本政府の行ったような戦争は三度とあってはならないものです。私たちは私たちの平和憲法とともに不戦と共生の誓いを新たにするものであります。
第二に申し上げたいことは、現在進行中のロシア軍によるウクライナ侵略についてであります。現在ロシアが有無を言わせぬ形でウクライナで進めている侵略行為は15年戦争中の日本軍の行ってきた行為とそっくりであり、国際間の信義を裏切る暴挙であり、即刻停 止しなければなりません。ただ単にウクライナに新鋭武器を送り込むのでなく、中立的諸外国を介して停戦をもたらす仲介の努力をするべきであります。日本政府はアメリカの要請もあってメンバーではないのに、NAT0 に参加 しようとしています。 これは日本国としてまことに不適切な行為であるのみならず、自らの憲法の精神にも惇るものであります。 日本政府としては、大国間における新鋭武器製造の競争によって、対立と憎悪を深めるよ うな流れにくみすることなく、相互の国が抱えている貧困や差別の問題に協力し合う、共生の文化を生み出す努力をすべきでありましょう。
最後に申し上げたいことは、人類史における最初の原子爆弾の被爆国として、国連において圧倒的多数で採択された「核兵器禁止条約」に、日本政府が正式に加盟国となるように強く強く要請いたします。 日本政府はアメリカの核兵器による防衛という前提のために、いまだに禁止条約に加盟しようと致しません。私たちはかつてオバマ大統領が広島において「世界で初めて核兵器を使用したことについて、道義的責任を感じている」と発言されたことを、ぜひ心強く受け止めて記憶にとどめましょう。この際アメリカヘの核による依存関係から自由となって、最初の被爆国の面目にかけてぜひとも「核兵器禁止条約」に正式に加盟することを日本政府に強く要望致します。
そのことがここに眠りたもう1800余 の勇士たちの祈りと叫びに応えることであると信 じて疑いません。
皆さんと一緒に聖フランシスコの「平和の祈り」を唱和いたしましょう。
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