第26回英連邦戦没捕虜追悼礼拝開催:祈りは続く(日本・英連邦)

追悼礼拝

2020年8月1日(土)、第26回目の「英連邦戦没捕虜追悼礼拝」が、保土ヶ谷区の英連邦戦死者墓地で行われました。長梅雨がやっと明け、夏の日差しが戻った当日でした。毎年8月の第一土曜日という暑い盛りに開催されるのも、炎暑の中、過酷な強制重労働、栄養失調などで、生命を奪われた多くの捕虜の一人ひとりの声を聞くためという創設当初の志を継承しています。

今年は特に、新型コロナウイルス感染拡大により、感染防止に細心の注意を払い、例年にはない昨年参加者へのハガキ送付による人数把握を行った上での開催となりました。ここ10年ほど続いている高校生たちの参加もあり、170人の参列者が集まりました。ニュージーランド・オーストラリア・インド・オランダ・カナダ各国の武官や大使館代表の方々が参列し、P研からは、笹本代表以下計7人が出席しました。

関田寛雄牧師(91歳)による追悼の辞では、「母国を思い、家族を慕いつつ、異国の地である日本でその生涯を終えざるを得なかった、ここに眠る1800余名の兵士の方々を想います」と述べられました。

追悼の辞を述べる関田牧師

また、「現在の日本はまたもやアジア諸国に対して傲慢な歩みを続けている」と現状を憂え、アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲医師の「アメリカは爆弾を積んで飛ぶが、我々は命のために大地を掘る」との言葉を引用して、「今こそより強く、自分自身を守るとともに、隣人を守るという課題が与えられています。ここに眠る兵士たちとその遺族の方々の祈りを、故中村医師の愛と共に受け継ぎ、平和を求め、共に生きましょう」と訴えました。

嬉しいことに、発起人のお一人雨宮剛先生(85歳)が、今年はお元気で出席され、亡くなられた発起人のお二人斎藤和明先生、永瀬隆さんを偲び、原点を今一度思い起こすよすがとして、永瀬隆さんの「泰緬鉄道の悲劇と真実」という岡山の高校生たちへの講演記録を配布されました。

雨宮先生と関田牧師
雨宮先生が配布した資料

式典後、イギリス区で埋葬者に敬意を表し、東京パイプバンドのバグパイプ演奏がおごそかに鳴り響く中、祈りを捧げ、献花となりました。その後、納骨堂オーストラリア、カナダ・ニュージーランド、インド・パキスタン区と、各国の墓地を訪れ、参加者代表による献花が行われました。

オランダ大使館書記官 納骨堂献花
納骨堂の中で話す高校の先生と生徒
オランダ大使館書記官 納骨堂献花
英国区墓地に集う高校生たち

今年も、礼拝プログラムの中に「捕虜たちの声なき声に耳を傾けて(7)2020」が綴じこまれました。これは墓地に埋葬された約1800人の捕虜の中から、毎年3人の捕虜を選んで、プロフィール、捕虜となってからの生活、亡くなった直接の原因などを書いたもので、POW研究会会員の笹本妙子と田村佳子によるものです。

P研提供の写真に目を止める参加者

どんな状況下でも、亡くなった方々に敬意を表し、そこで起こったことを考えさせるこの追悼礼拝を続けようとする奥津隆雄代表はじめ実行委員会の方々に深く感謝申し上げます。

取材日:2020年8月1日
取材・撮影:稲塚由美子(「隣る人」工房)

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