2022年8月6日(土)、第28回目の「英連邦戦没捕虜追悼礼拝」が、保土ヶ谷区の英連邦戦死者墓地で行われました。毎年8月の第一土曜日という暑い盛りに開催されるのも、炎暑の中、過酷な強制重労働、栄養失調などで、生命を奪われた多くの捕虜の一人ひとりの声を聴き、捕虜の方々への心よりの謝罪と不戦と共生を誓うという創設当初の志を継承しています。
午前11時から礼拝が始まりましたが、今年は第1回追悼礼拝から「追悼の辞」を述べてきた関田寛雄牧師(94歳)の追悼の辞が今年で最後になるというのでショックでした。
関田さんのお話はいつも、自分は「軍国少年だった」ときちんと戦時中を振り返り、「日本は自らの戦争責任に向き合うことが大切だ」へと続きます。その真摯な思考と強い信念に触れて、いつも勇気をもらっていました。
今年は、ロシアによるウクライナ侵攻があり、それを糾弾しながらも、日本政府に対して、ただ単にウクライナに武器を送り込むのでなく、中立的諸外国を介して停戦をもたらす仲介の努力をすべきで、アメリカの要請でメンバーでもないのに、NATOに参加しようとするのは不適切で憲法の精神に悖るのだと伝えます。さらに「核兵器禁止条約」に正式加盟を、と日本政府に強く求めました。それが墓地に眠る方々の祈りと叫びに応えることだと訴えます。
長年、元捕虜、民間人抑留者の方々とそのご家族を日本にお連れし、戦争の傷の癒しと和解に尽力されてきたアガペワールド代表の恵子・ホームズさんも追悼スピーチに立たれました。
礼拝後、参列者は各国セクションの墓地を回り、東京パイプバンドのバグパイプ演奏がおごそかに鳴り響く中、祈りを捧げ、犠牲の十字架や記念碑に献花を行いました。納骨堂前にて、今回が「追悼の辞」最後となる関田牧師と、長年「英連邦戦死者墓地」の管理をしてくださっていた小林管理人に、感謝と敬意を捧げて花束贈呈が行われました。
今年も、ひとり一人の戦没者の生きた証を綴った「捕虜たちの声なき声に耳を傾けて(9)2022」が配布され、執筆者の笹本さんと田村さんが、今年はニュージーランド区で献花を行いました。
今年も中学生や高校生の参加もあり、ニュージーランド・オーストラリア・オランダ・カナダ各国の武官や大使館代表の方々が参列し、POW研究会からは、笹本代表以下計7人が出席しました。
どんな状況下でも、亡くなった方々に敬意を表し、そこで起こったことを考えさせるこの追悼礼拝を続けようとする奥津隆雄代表はじめ実行委員会の方々に深く感謝申し上げます。
取材日:2022年8月6日
取材・撮影:稲塚由美子(「隣る人」工房)
※本原稿は、POW研究会HPに寄稿したものを転載しています。
※次ページにて、関田寛雄牧師の「追悼の辞」を全文、掲載しています。
☆関田寛雄牧師・インタビューへリンク⇒ 「戦中、私は『軍国少年』でした。戦後は、朝鮮半島との和解を求めて…」~牧師・関田寛雄さんの語り / ムービー(日本 / 朝鮮半島)
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