すこ~し離れて、心はもっと繋がって(日本/埼玉)

2020年6月20日現在、新型コロナウィルスの特異性に翻弄され、治療薬やワクチンがつくられるまでの数年間、元の生活に戻ることはできないかもしれません。

「手洗い・マスク・1m離れて話す」を基本にして試行錯誤を繰り返し、近場から少しずつ外に開いていくしかありません。一気に患者さんが増えて医療崩壊を起こさないように留意しながら、人出の抑制と緩和を続けていくことになると思います。

『光の子どもの家』でも、幼稚園や学校が休みになり、強制「Stay home!=家にいなさい」に。コロナ禍真っただ中の暮らしについては、『光の子』の〈プリズム〉欄に、それぞれの職員さんが個性豊かに綴っています。

巷では、学校教育を家族が代替するような状況の中、オンライン授業ができる環境とそもそも環境がない状態との格差が顕在化してドタバタが続きました。これからは、学校行くも、在宅でオンライン授業でも、「選択」できるようになるといいですね。

職員さんからは「やっと小中学校が再開しました。給食バンザイ! 高校は来週からです。まだまだ制限がある中での生活なので、なんだか窮屈ですが、子どもたちは元気です(笑)」なんていうメールも来ました。

暮らしですから、子どもたちも職員さんたちも「笑顔ときどき顔引きつる」ことも当然あったことでしょう。それでも、子どもたちとの暮らしは営々と続きます。「何とかやっています」という報告がいかにも『光の子どもの家』らしい。続いていく暮らしの中で、あれがよかった、これがよかったなんて、ずっと後になってみなければ分からない。それでも「失敗しちゃった」ことこそを口に出せたら最高ですね。まるで柔らかい風が吹いているように。

『光の子どもの家』ではバザーも休み、理事会もオンライン、訪問者も制限せざるを得ない状況でした。自粛という手段により働き場を失った卒園生や奨学金とバイトで大学に通う卒園生たちへの支援も、光の子どもの家はできるだけのことをしています。卒園したからそれで終わりではないですよね。何歳になってもその人にとって安心できる相談相手や居場所は必要で、光の子どもの家としても考え続けます。

私事ですが、栃木県野木町の知的・身体障がい者グループホームにいる兄が、3か月間、東京こそ感染源とみなされ、往来不可になりました。毎週末、東京の私の家で過ごすがダメになったのです。兄はグループホームの仲間や世話人さんとも仲良しですが、ずっと一緒だとイライラけんかもします。でも、お互いに、すこ~し離れると、次に帰ると「いないと寂しかったよ~」となります。そこで頼るのはNPO『まごの手』さん。栃木県内ならOKというので、兄を連れ帰り、お風呂に入れ、食卓も囲み、心豊かなひと時を過ごさせてくれました。親族だけではできないことが起こります。近くにいるから手を出し、「お互いさま」と言ってくれる『まごの手』さんがいてくれて、兄と私はとても幸せです。

その『まごの手』さんが開くお年寄りの居場所に、昨年『光の子どもの家』の子どもたちが訪問し、各々おばあちゃんとペアになって輪投げ競争をしたり、一緒にお茶とお菓子を頂いたりしたのですが、おばあちゃんたち、よほど楽しかったのでしょうね。「○○ちゃんは元気?」「どうしてる?」といつも訊いてきます。おばあちゃんたちにとっては、子どもたちは孫同然です。

昨年の台風19号被災でも思い知らされましたが、加えてこのコロナ禍で、物理的に近い方と助け合うことに、もう一歩踏み込んでもいいのかもしれません。

「隣る人」工房 / 稲塚由美子

社会福祉法人 児童養護施設 光の子どもの家 機関紙「光の子」2020年7月・196号への寄稿

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