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アメリカ関連

  • 2022年6月29日

『噤みの家』(アメリカ)

…472日間にわたる壮絶な監禁事件の生還者フローラは、D・Dの「秘密情報提供者」になっていた。彼女は、事件の報道にショックを受ける。6年前の監禁中、被害者の男に会っていたことを思いだしたのだ。フローラを監禁してレイプした事件の犯人ジェイコブは、FBIによるフローラ救出作戦で死んでいるが、夫コンラッドは、誘拐犯ジェイコブと知り合いだった? だとしたら彼の正体は?…本書の魅力は、まず女性たちの人物造形にある…本書は「シスターフッド」の物語でもある。捜査する側も被害者も、愛憎ないまぜになって共感して助け合う、女性たちのお伽(とぎ)噺(ばなし)だ…

  • 2022年4月11日

『アリスが語らないことは』(アメリカ)

2019年度「このミステリがすごい!」(宝島社)で2位となった『そしてミランダを殺す』の作者、ピーター・スワンソンの新作。何が真実で、誰が嘘つきか、緊迫感あふれる心理サスペンス・ミステリーの傑作…人は、見たくないものは「ない」ものとして生きることがある。時には自分に対しても嘘をつく。それも過酷な人生を生き延びるためのぎりぎりのサバイバル術…

  • 2022年3月23日

『完璧な家族』/ 小学館文庫・巻末解説より掲載(アメリカ)

事件は、完璧な秋の日にとつぜん起こる。ある幸せそうな一家が何者かに銃撃されたのだ。13歳の次女ローラと8歳の長男マニー、母親とその恋人は、一瞬にして命を奪われた…始まりはロクシーが11歳の時、妹のローラは8歳で、弟マニーは4歳。それぞれの父親は異なり、マニーの父ヘクターは母と大喧嘩(おおげんか)して出て行った。その後、母は泣くか酔っぱらうかで、まったく子どもたちの世話をしなくなった。ネグレクトで通報され、母から引き離され、姉妹は同じ里親マザー・デルの元に、弟は別の里親に預けられた…

  • 2022年4月11日

『亡国のハントレス』(ポーランド・ドイツ・アメリカ)

本書は、前作「戦場のアリス」(「ふぇみん紙」2019年7月25日号掲載)と同様、史実を忠実に織り込んだために生まれる臨場感が半端ではない壮大な歴史小説ミステリー…第二次大戦中、ナチスドイツ占領下のポーランドに「女(ハント)狩人(レス)」と呼ばれた殺人者がいた。森で人を狩り、ユダヤ人の子どもや兵士を殺した冷酷な親衛隊将校の愛人。戦争が終わり、「ニュルンベルク裁判」で、数百万人の殺害が暴かれる陰で、彼女は姿をくらまし…戦争に翻弄(ほんろう)された登場人物たちの過去と現在の物語が、最後に一つに収斂(しゅうれん)していく…