コロナ禍でのCPAO「ホットミール・プロジェクト」/インタビュー/スライド/ラジオ(日本/大阪)

インタビュー / 徳丸ゆき子さん・兼松徹さん(NPO法人CPAO)

以下、
徳:徳丸ゆき子
兼:兼松徹
刀:刀川和也(聞き手)

「ホットミール・プロジェクト」を始めたきっかけ】

刀:このホットミールプロジェクトというのは、もう1年になりますけどコロナがきっかけだったんですよね?

徳:コロナの前から「居場所」に来れる子はまだ「まし」っていうね…ずっと、私たちも言ってましたけど…本当にしんどい子どもたち、おかあさん方っていうのは、そういう場には行きたくない…。いろんな不特定多数の人が来るような場所では何を言われるかわからない、とかね。そこに行ってたら地域の人たちに何て言われるか…そういうことがあるので、しんどい人ほど来れないので…ここまでの数とは思ってなかったんですけど…。「送ってあげる」事業もやりたいとは思っていたんです。だから、前倒しで始まった…。

刀:「送ってあげる」っていうのは…

徳:宅急便とか…。「居場所」に来るんではなくて、わたしたちが持っていくのと…宅急便を使ったりとか。やっぱり、おうちにも来てほしくない、という方がいらっしゃるんですよ。近所の目があるから。「あれ、何なんですか」って訊かれたら、どうしようっていうね。そんなことがあるので、近くても宅急便で送ってあげてる方もいらして。やっぱり「世間の目」ですよね。それがあって、行きづらいとかね。「子ども食堂」とかも緊急事態宣言が始まって…もう始まってましたけど…一般的にコロナのことが今のようにはわかってないですけど…ちょっと敏感なおかあさん方のもとにいる子どもたちは、もうすぐ来なくなってきて…。

兼:ざっと計算したら、去年(2020年)だけで5,000食越えてましたね。

【どのような運営の仕方を?】

刀:最初から週3(回)だったんですか?

徳:どうしてたかな…。週2…どうしてたかなあ…。

刀:もう忘れてしまいますよね…。

徳:そうですね。緊急の分も送らないといけませんでしたし…。

兼:週3ペースぐらいはやってましたね。

徳:そうかな…。土、日とかもね…キッチンカーで行けるところには行って…ハイエースで、これで行って…ご飯を一緒に食べたりもしていましたし…。もう毎日稼働していましたね…今もですけど。

刀:稼働っていうのは、ご飯を作って持っていくとか…

徳:はい。どこかにね…子どもたちを連れていくとか…お泊りをするとか。緊急の対応を…。

刀:それは学校がやっていないときですか?

徳:そうです。緊急事態宣言が…その中で…。

刀:二人で(弁当は)作っていたんですか?

徳:そうですね。コロナがどういうものなのかわからなかったので、ボランティアの人とかもあんまり集めるのも良くないのではないかっていうことで…。基本は、私が調理のことをやりながら…他の方々にもメイン(のおかず)を作ってもらったりして…兼松さんが取りに行ってくださったりとか…。それをパックしてね…宅急便で送ったり…届けに行ったり…。それをずーっとやってましたね。あー! 緊急事態宣言の前か…。大阪市が学校休校を言った27日(2020年2月27日)の後ですから、もうちょっと前です。宣言よりは前からやってましたね。

【弁当を家庭に直接届けることでみえてきたことは?】

徳:心配なお宅とかに訪問に行ったら…ピンポーンって押したら…出てくるとき、子どもがギャーギャー泣きながら出てくるとか…。「どうしたん?」って言ったら「おかあさんと喧嘩して」とか…。おかあさんからもね…「昨日、子どもがベランダから飛び降りようとした」とか…。おかあさんたちも、やっぱり、イライラしていたりとか…。子どもたちも、もっていきようがなくて、ストレスが溜まっている様子とか…子どもたち同士の喧嘩とかきょうだい喧嘩が多いとか…。ちょっと、息抜きができたらいいなあって思って…連れ出したりとかね。

刀:そういうおかあさんたち…そのストレスっていうのは、やっぱり、仕事のこととかがあったんですかね?

徳:そうですね。この機に仕事が無くなったという方もいらしたし…。

兼:さらに、その後、緊急事態宣言が出て…仕事の時間が減るとか…どんどんですもんね…。

徳:今までもね、そういう方も一定…潜在化していたものが出てきたということもありますけども…。だから、変わってないといえば、変わってないんですけども。やっぱり、仕事が無くなるというのが…今回、大きかったじゃないですか…。前だったら、日雇いのバイトとか派遣の仕事であれば、なんらかあったはずなんですけど…そういうのさえ、今回、無くなってしまって…。ハローワークとか、ネットで調べたりしても…面接にさえ辿り着かないとか…。そのなかで、家賃を払っていかないといけない。役所につなげようと思っても、役所があふれかえったりしてたんでね、人が多くて…。みんなが、いろんな貸付の話とか…生活保護の相談とか…。そこで、2、3時間とか待ったりしてると、そこでコロナにうつってしまうんじゃないかという不安とかね。私も自分が罹ったら訪問とか行かれませんし、活動が止まるということもあったので、そことの兼ね合いで、役所の中には入れないので…「ここで待っておくから、ごめん、行ってきてくれる…」って言って…。活動を守らないといけないから…役所の中があまりにもあふれかえっているので。

刀:そんな感じだったんですね。

徳:だから、「あなたも、もしかしたら覚悟がいるかもしれないけど…なにかあったら、子どももね、私、預かるし」とか…。「生きていくために、わかりました」っていうことでね、中で何時間も待っておられたりとか…。電話も、もちろんつながりませんし。もう、あの時は大変やったなあ…。

刀:生活保護だけじゃないんですよね?

徳:はい。いろんな、各所、相談でしょうね…。いちいち、「なんですか」とは聞いていませんけど。まあ、あふれかえっていましたね。そこで、「やっぱり、やめます」っていうことでね、あきらめる方とかもいましたし…。

【宅配の頻度と数は?】

刀:いま、このご飯を届けている人たちは何人いるんですか?

徳:どれぐらいかな…。だいぶん増えたんじゃないかなあ…。

刀:一日に、だいたい、30食?

徳:30から35、36…。

刀:週に3回ですよね。

徳:前は、50食…やっていたんですけど…。その20食がすごい大変で。それで、いまは30食にしているんですけど。あそこの場所(インタビュー当時、調理をしていた場所。現在(2021年7月)は別の広い場所にて活動)も狭いということもありますよね。人があんまり入れませんし。安定して届けられないので、新規の人をどうしようかっていうので、いま、金山さん(スタッフの方)とかにも相談してるんですけど…。これを、どんどん増やしていくっていったって…ということがあるじゃないですか…。

刀:限界ありますよね…。

徳:やっぱり、「届ける」っていうことは継続してやらないといけませんし…。つながっても届けられていない人もいますし…。

刀:よく1年間継続してきましたね…

徳:ねえ!(笑)…大変でした!(笑)。

刀:一日、やるだけでも結構大変だなあと…。

徳:そう!…これを二人でやってるときは、ほんまに、もう、フラフラになって…。ご飯を作って、パックして、お届けまで行って…。

兼:だいぶ、効率よく…もう、夏になって…

徳:初めは、なんもわからんところからだったのでね…。

刀:配達もそうだけど、これを送るのも大変ですよね?

徳:そうです! 宅急便はあと1時間ぐらいかかるんです。段ボールを作って、入れて、汁がもれないようにパックしないといけないし…何重にも。

刀:翌日着くっていうことですか?

徳:そうですね。翌日の朝には着いているんで。日本の流通のシステムはすごい、と思いますけど。だから、腐らないようにクール宅急便ですし…意外と値段がはりますしね。だから、クール宅急便で送る値段は超えるぐらいのものは、やっぱり、送りたいと思うので。お弁当は、ちょっと豪華にして、そのあとにもお米入れたりね…他の食材を入れたりとか…。そうじゃないと、送料の分で、お金を渡して買ってもらったらいいやんっていうことになりますし…まあ、そんなことも、しんどいという方もいますけど。

【困ってることは、家事。食べ物はツール。】

刀:家事か…。

徳:うーん…。毎日働いて、毎日ご飯作って、片づけてっていうのが続くわけですからね。一日ぐらいいいですよね、なんもせんと…お弁当食べて…。洗い物もしなくていい…。ワーキングプアとか…お金がないということは…気持ちも時間も奪われていくっていうことですから。それが少しでも、気持ちのゆとりがうまれるっていうのは…子どもたちにも必ず恩恵があるんで…。「ご飯を早く食べてもらって、早く寝よう」ってなってしまいますけど…お弁当があったらね、何も用意せんでいいから、その分、ちょっと話が出来たとかね…。確実にそういうことが増えたっていうことは…言ってくださいますね。食べ物はツールなんでね。なんか、みんな勘違いしてるけど、食べ物を配って終わりとか…。それは、なんか、もったいないですよね。せっかく、食べ物を配るんやったら、それをもとに、どういうサポートができるんかとか…。さらに、出来ることはないかと、常にニーズを聴いて…。初めのうちはね、あのおかあさん(支援している、一人のおかあさんのこと)もまったく…「いいです、大丈夫です」という感じだったんですけど…「じゃあ、お買い物をお願いしてもいいですか」ってね…やっと言ってきてくれて…。

【毎日届く、SOSの声】

刀:いまも毎日のように、いろんな相談があって、どこかに会いに行ったりしてるんですか?

徳:いま…緊急事態宣言になったら、みんな恐がるんで…。

刀:支援の仕方っていうのも個別でいろいろ…

徳:いろんなパターンですよね。いまも、やっぱり、DVの相談も多いですし…。酷く暴力があった次の日ぐらいは「すぐ出たい!」って言いますけど…いま、コロナで仕事もないしね…「やっぱり、やめときます」…。「また、なんかあったときに連絡します」…。一週間も経たないうちにまた…「やっぱり、出ます」…それをずーっと繰り返してらっしゃる方とか…。「段々、暴力は酷くなるから」って…。でも、強く言いすぎるとね、また、連絡もらえなくなるから…。こういう手があるっていうことだけね…いくつか教えて…。「最悪のときは、警察に連絡してください」とか。「証拠をとっておいてください」とか…。守る術だけね、ちゃんとお伝えしたりするけど…最後はね、みんな、何をするかわからないよ…って…みんな、そうだけどって…伝えますけど。なかなか踏ん切り難しいですよね…。このコロナで、さらに仕事があるのか…出ていって…いま…。あとは、意外と若い子ですね、高校生とか大学生とかからもSOSが意外と多いですね。

刀:DV?

徳:あの…彼氏からのっていうのもありますし、親からのっていうのもありますし…。バイトで生計をたててる子とかもいるので…大学生とか…家を出てね…。その子たちの相談とか…。

刀:この大阪で?

徳:全国からきますよ…あいかわらず。

刀:そういう場合は、いろいろ…

徳:駆使して…。知り合いがいたら(その場所に)知り合いにつなげますけど。あかんかったら、社協とか役所とか、いろんなところに連絡して…こうこう、こういう人がいるんで、相談に行くんで、こんなサポートとかがいいかと思うんですけど、とかね…。

刀:コロナもすぐに終わるとは思われないし、なにか、見えないですよね…希望が見えない感じが…。

徳:まあ、でも、ほんとにね…今日とかもそうですけど…「また、おばちゃんと温泉に行く!」というのが、小っちゃい希望だと思うんですよ。小っちゃい、かなえられる希望を…どんどん増やしていきたいなあと思いますよね。

兼:それが実現するっていうことの繰り返しって大事ですね…。

徳:「やった!」って…「次、いつ、行けるの!」ってね…思えるということは、小っちゃくても希望ですよね。

刀:このホットミールでも、若者たちに配っていることもあるんですか?

徳:あります。まあ…でも…なかなか頼ってくれへんのでね…。気楽に人に頼ったりとか…助けてもらうのに慣れてないっていいますかね、若い方も。「人の施しなんか受けられへんし…」…女の子とかもね。

刀:あー、女の子の方が多いですか、若い子っていうのは?

徳:そうですね。圧倒的に女の子の方が多いですね。男の子の方がもっと、頼らないのと違いますか…。なんか…男は泣いたらあかん、とかね。やっぱり、若い子でもそんなことを言うんやってね。「男なのに、弱音を吐くことはできない」…というところ…。食べ物がないから「こんな私でも、もらえるんでしょうか」とか。「子どもって…もう、大学生なんですけど…」とか。「関係ないよ~」って言って…。「困ったときはお互い様だから、出すよ」って言ってね、初めは出すんですけど、「やっぱり、甘えてられへん」って…。若い子ほど、そうかもしれませんね…元気やし…。

刀:友人、知人関係でもやっぱり…

徳:頼れない…っていますね、みんな。「友達とかに言ってるの?」って言ったら「言われへん」って。「そんな、ラインとかで何を言われるかわからんし…」とかね。誰も信用していない、とかね。でも、友達は何百人もいる、あの…つながっている人はいる…。やっぱり、そうかあって…やっぱり、そんな感じなんだなあって…。稀薄ですよね…人間関係が。

【問題は複雑に絡み合っている】

刀:話を聴くっていうだけでも、意味があるんですかね。そうやって、向こうから連絡してこられたということですよね…

徳:そうです。でも、問題が複雑すぎてね…。一個、これをやったから解決するっていうことが、まず、なくて…。そういう話しを丁寧にしていったら、(SOSを求めていたけど)もう面倒くさくなってくるっていうか…日々が忙しいんで。でも、みんな、じりじりと落ちていくわけですよね。だから、その都度、その都度、私が声をかけたり…彼女らの方から連絡があって…。でも、やっぱり、事を(変えようとするなら)動いてもらわないといけないんで…。でも、その気力とか、時間とかがないと「そうか…じゃあ、また、考えてみます」みたいなことで…連絡がまた、一回、途切れて…。「具体」の話をしたら、面倒くさいことばっかりなので、一個、一個、役所に行って、とか…。債務の整理で弁護士先生のところに行ってもらって、とか…。また、一から全部、話をして、とか…。書類を書いて、とか。代行ができたらいいんですけど…。本人じゃないと、無理なんでね。その重い腰を上げるっていうのがね…その力がもう、奪われていて…。それは、お茶を…ご飯を一緒に食べようよ、って、いろいろね、近かったら…いろんなことを話をして…もっと出来ることないかなあって、その中からひろって…それをとってあげて…出来ることはやってあげたりしていると、ちょっとね、やっぱり肩の荷がおりるから…ちょっとは動きやすくなるところはあるんですけど…。遠いと難しいですね…。あまりに忙しすぎるとか…。今日、訪問するおかあさんとかでも…仕事をしながら、お子さんのこと、二人ともがいろんなことがあって…問題が学校からは連絡がくる…児相からも(連絡が)くる、とか…。学校から呼び出しがあるってなってくると…根本の解決より目の前のことを解決をするっていうことで、精一杯になりますよね…人間、誰でも…。だから、後回し、後回しってになってきて…段々、雪だるま状に問題がふくれあがって…。どこから手をつけたらいいのか、わからない…。

刀:たいがい、いろんなものが絡みあっているんですね…。

徳:ワーキングプアの問題…生活保護の問題…お子さんの障害の問題…非行の問題とか…。進路の問題も…いろいろあります…。いじめの問題…。一人のおかあさん、一人の子どもっていったって…家族の問題になってきたら、もう…様々…複雑になって、それが絡みあって、こう…どこからほどいたらいいんかなあって…いつも思いますけど…。やっぱり、「根治治療」しようと思うと…「大手術」になるわけですよね、言えば…。それをするには、いろんなことを放ってやらなんあかんじゃないですか…。「大手術」するっていうときにね、仕事をやりながらってわけにはいきませんよね。子どもの世話をやりながらいうわけにはいかへんし…。その辺も、なんとかして…自分が「手術」するっていうことになるんですけど…普通の病気でも…。そこまで至らないですよね…。だから「絆創膏を貼ってるだけ」っていう…。「血がむっちゃ出てますけど!」ってね…。もう、癌もそこまで酷くなってるけど…「絆創膏」って意味があるんですか、って思いながら…。でも、もう…今日…明日…どうしようってなりますよね。これを構造の問題とせず、何の問題と…。彼女だけの問題か? 子どもだけの問題か? 仕事だけの問題か?とかね…。生活保護だけの問題か?ってね…。もう、全部、いろんなことが複雑に絡みあった…社会の構造問題ですよね…。

刀:そうやって、つきあいながら、少しずつ…進めたりとか、話したりとか、なにか変わったりはしてる…

徳:そうですね…。今日の…連絡が…まあ、会わなくっても…何回かに一回ぐらいはね…「ご飯、いつもすみません、お礼言えなくて、忙しくて」みたいなことがきますから…。それは、ちょっとね、余裕があるのかな、っていうことで…「あの問題ってどうなった?」とかね…「娘さん、どうですか?」とか…やりとりをして…長引くようだったら、「ちょっとだけ電話できる?」とか…話をしたりとか…。

刀:電話で話すこともありますか?

徳:あります。お話がうまい人ばっかりではないのでね…整理して話をするのが難しそうだったりね…電話じゃないと…。なるべくなら、私は、やっぱり…整理して文面にした方がいいと思っているんですけど…。一回、自分の頭を通すということで。それもしんどそうだったら、電話ですかね。「整理できてない」みたいになったら。「整理するのを手伝おうか」みたいな…。

刀:整理する、っていうのがあるんですね、文章にするっていうことが…

徳:だから、なるべくね…チャットとかでもいいから…一緒に手伝うから…言葉にしてもらえたら、私もわかりやすいんだけど、とか言って…文章にしてもらうんですけど…。そしたら、自分で書きながらね「あ、そうか!」みたいなね…。「やっぱり、私、ずっと一緒のことしてるわ」とかね…。今日のおかあさんとかもね、言われますけど…。その暇もないですよね、自転車操業になってくると…。

【「絆創膏を貼る」ことしかできないのか…】

徳:だから、「政治を変えないといけないんだ!」とかいうこともね、まあ…私も散々言われますけど…わたしら…私にもないんですよね、その時間とか気持ちも…。「簡単にいうけどさ」っていう…。私は適材適所って思ってるから…。地域の問題であれば、議員に言ったりとか…それが、ここぞ、っていうときには、やろうと思いますが…。大きく政治を変えるなんてこと…現場をやりながらやるってことが、私にはもう…無理ですね。でも、日々、ご飯を最大に送って週3日とか…。ご飯をもうちょっと足して送ったとしても…これが何になるのか、っていったら…全部…「絆創膏」と一緒ですよね。これは、すごいジレンマですね…。

刀:もう一回、そうやって頭を巡らしてみると…よく(活動を)続けれられるよなあって思っちゃいますよ…

徳:でも、やっぱり、かわいいですよね…さっきの子だって…。あんなに熱烈歓迎してもらえることないですよ。

刀:そうですね~。

徳:じゃあ、必要とされているんであれば「やろう!」って。やっぱり…子どもたちから元気もらうっていうか、力をもらいますよね。こんな子が、また、おんなじようなね、いろんな苦しみ…社会に生きるのは嫌だから…「社会に出来ることもないやろか」とか…考えることが出来ますね。なんにも悪くないですもんね、彼女らは…。子どもたち…その地続きにあるおとなもみんな、そうだといえば、そうですし…。

【子どもたちは大きくなるにつれて、しんどくなってくる…】

徳:それで、やっぱり、大きくなるにつれて…みんな、夢とか希望を失っていって…。やっぱり、中高生とかの時が厳しいですよね、みんな…子どもたちでも…。現実が目の前に見えてくるっていうところと…希望を持ってるっていうところもジレンマですよね。この思春期を越えたときに、どうなっていくかっていうのが…人によって違うと思うけど…段々、あきらめていく…。その過渡期の中高生…。私らも、まあ…弱いところですね…。難しいところ…。問題は早いうちに、っていうことでね…小さい子に、小さい時から関わってたら…大きくなったときもまた…SOSあげてくれるんじゃないかとか…言えることもあるんじゃないかということでね…。なるべく、小さい子たちに…って思ってしまいますね…。あまりにも、中高生が抱えている問題が大きすぎて…。

【まだ過渡期。プロセスでしかないと…】

刀:もう8年ぐらいですか?

徳:今年9年目になりますね。今年(2021年)の5月で。

刀:「絆創膏」みたいなものも、もう…長く「絆創膏」やってることになりますよね…

徳:そうです(笑)。「絆創膏」に「絆創膏」を重ねていって、厚「絆創膏」で…

刀:その時間は時間で…積み重なっているものがある…

徳:なんか、そういうふうにはあんまり…過渡期なんでね…プロセスなんで…。一回、一回をみて「なんだ」っていうことは、無意味かと思っているんで。「9年やってきたから、どうか」…とか…関係性も人によって違うし…。でも、なんていうんでしょうね…(私の)ものの見方っていうのは変わりました…9年経って。前やったら、単純に「なんやねん!行政!」とかね…「なんやねん!政治!」とか…思うようなことっていうのは、もう…ないですよね。もっと複雑で…そんな…ここやったからって、なにか変わるわけでもなく…。でも、そこを、希望を失わずに継続していかなんあかん、っていうような境地に自分は変化してますけど…。したことに対して、なんか…9年やったから、ああだ、こうだっていうのは…彼女らの人生は、いまだ続いているわけでね…。答えは…一概に出せないですよね。まあ…一応の目指している…わたしらの決める…とするならば…二十歳とかになったとき…おとなになったときですよね。かれらがどういう人生を歩み始めたか…みたいなのは、一個、決めてもいいのかなってね…ぼんやりは思ってますけど…。まあ…「最後は…生きてたら良し」っていうかね…境地になってますけど…。

刀:そういったら…一人ひとりの顔が見えてくる感じですよね…話をしながらね…全体ではなく…

徳:だから、傾向としてっていうようなね、話はできないですね。私にとってはね、何々ちゃん、何々君…何々さん(笑)…。全員、もう、一人ひとり違いますもんね。

終わり

2021年1月19・26日 / 聞き手:刀川和也(「隣る人」工房)